身を守る

身を守る

財産を守るためのカギの役割については既に述べてきましたが、カギにはそれだけではなく、身の安全を守る、という側面もあります。見の安全を守るためのカギというのは家にいるときに内側から掛けられるカギになりますので、特に特別な見た目をしていなくても構いません。高価なものでもなくていいということです。しかし、財産を守るための錠前は人が居ない時に使うものなので扉の外側に使われます。特別なカギでなくてはならず、そのため頑丈で見栄えもいいものがつくられるようになったそうです。

見の安全を守ることというのは人間の生物としての本能に直結するものです。道具を使うという点で他の動物と異なっている人間はきっとなによりも先に自分の身を守るための道具を生み出したことでしょう。家が生まれ、それから夜寝る時に身を守ってくれる心張り棒が生まれます。戸口の内側につけられるカンヌキのようなものです。これらはいかにも原始的なものです。しかし、日本人はつい最近までこのような心張り棒やカンヌキに頼って生活をしていました。

古代まで遡るとこのような仕組みは見つかりません。しかし、弥生時代になると「落とし鍵」というものを見られます。扉からカンヌ希望を落として敷居のところに開けた穴にひっかけ、扉が外から開かないようにするためのものです。乞食の三輪山伝説ではこの「落とし鍵」の鍵穴に関しての記述を見つけることができます。

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